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こんにちは、調味料アドバイザーの古谷史織です。
秋も深まり、いよいよ季節は冬へ移り変わる時期となりました。
皆様いかがお過ごしでしょうか?

この時期の私の畑では、根菜類やほうれん草など冬に旬を迎える野菜たちが
寒くなるにつれ、自然の甘さ増す季節です。
畑で土作りから始める自分の野菜は、愛情と手間を注いだからこそ収穫の喜びがあります。

自分で育てた野菜とともに、お料理に使う調味料では作り手の温もりが残るものを選び、
無限の組み合わせの中に私らしい美味しさを見つけることで、日々楽しんでいます。

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写真(左)はコールラビというお野菜の苗。写真(右)は春から愛情とともに育ててきた落花生。

「福来純三年熟成本みりん」もまた、我家の食卓を作る
ひとつのエッセンスになって身体に染み込んでいます。
今月は幻の食材とされる、美醂を絞ったあとに残る「みりん粕」に注目してみましょう。



◆幻の食材!? みりん粕
酒粕はよく聞きますが「みりん粕」というのは聞きなれない言葉ですよね?
実は、このみりん粕は昔ながらの製法を守っている蔵元さんでしか見ることのできない食材なのです。

量販されている、原材料に糖分や旨み成分を使用して製造されているみりんからはほとんど粕が出ません。
本来はもち米を発酵させて作り出す麹の甘みが
糖分などの添加物として加えられているために、絞る素材がないからです。

「福来純三年熟成本みりん」はもち米・米麹・米焼酎をあわせ約90日間発酵させたものを絞り、
約三年熟成させてから出荷されます。美醂を絞ったあとに残るみりん粕は
「こぼれ梅」と呼ばれ、麹の酵素が生きた状態でそのまま出荷されます。

酒粕については、様々な機能性成分の研究がなされていますが、みりん粕については
母数が少ないので研究が進んでおらず、未知の食材です。
成分はアルコールと水分が約四割、炭水化物が三割、残りはタンパク質や脂肪などで構成されています。

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「福来純三年熟成本みりん」のみりん粕を口に入れると、
熟成される前の爽やかであっさりとした美醂の香りが残り、濃厚な甘みとともに原料由来の粒感があります。

昔の人達は、そのままおやつがわりに食べたそうです。
甘くて粒感がほどよく残る食感はおやつのようですが、アルコール度数も高いので、
食べ進むと酔っ払ってしまいます。



◆みりん粕を食べる
「そのまま食べる」ということをキーワードにして美醂の甘みを楽しむために、
砂糖を使用せずに、子供も食べられる「みりん粕ソフトクッキー」を作ってみました。
みりん粕の粒感と、ナッツとフルーツの香りを楽しみながら噛み応えのある食感に仕上げています。
ほうじ茶や緑茶など日本のお茶をあわせて美醂の奥深い甘みを楽しむのがオススメです。

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≫みりん粕ソフトクッキーのレシピはこちら




◆みりん粕で漬ける
みりん粕には、適度な甘みとコクがあるので漬け床としても活躍してくれます。
塩をあわせてお豆腐を漬けこみ、旬の柿とあわせて「みりん粕漬豆腐と柿のピンチョス」を作ってみました。

美醂の風味が加わり、大豆の味が濃くなったお豆腐と柿のジューシーな甘みの相性がよく、
さっぱりとした仕上がりになっています。
豆腐のみりん粕漬けは、そのままスライスしてご飯の間の箸休めや
お酒にあわせるおつまみなどにも、良いですね。

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≫みりん粕漬豆腐と柿のピンチョスのレシピはこちら



◆みりん粕と味噌のコラボレーション
みりん粕と味噌を合わせたものに豚肉を漬け込んで「豚肉のみりん粕漬」を作りました。
豚肉の味が、美醂と味噌によってさらにコクのある味に変わり、
焼くことにより芳ばしい香りと共に食欲をそそられ、炊きたてのご飯にぴったりです。
お魚の切り身やチーズとも相性が良いので、様々な素材を漬けられます。



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≫豚肉のみりん粕漬のレシピはこちら


漬けたあとの漬け床は、漉し器を使いお味噌汁に少々加えてあげると
粕汁仕立てのお味噌汁になり、無駄なく最後まで使い切ることができます。
また、みりん粕漬けにした食材をそのまま冷凍保存すると、使いたいときに
解凍して焼くだけで夕食のメインに早変わりするので、冷凍庫に常備しておくと便利です。

実は、今日ご紹介した以外にも昨年我が家で漬けた梅干しをみりん粕漬けにしてみていますが、
仕上がりまでには長い時間がかかるので、次回の更新の時にお届けできるといいなぁと思っています。
時間をかける美味しさもまた、格別だと感じています。


◆みりん粕と守口漬
本日最後にご紹介するのは、みりん粕をブレンドした漬け床を使った漬物で
名古屋名産の「漬物の最高峰のひとつ」と呼ばれる守口漬です。
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守口漬は、愛知伝統野菜に指定されている守口大根を始め瓜などを
酒粕とみりん粕で何度も漬けこむ、手間をかけた漬物です。

守口大根は、ゴボウのような見た目で地中に1m以上も成長し、
河川の流域の限られた土地でしか栽培することができない大根です。
その長さゆえに収穫に多大な労力がかかること、歴史や戦争の影響により
何度も消滅の危機を乗り越えてきた大根です。

繊維質で緻密な肉質が特徴の守口大根は、収穫後塩漬けされ
各社独自の配合でみりん粕と酒粕を使い、漬床を変えながら約2年の歳月を
かけることで飴色に変わり、ポリポリと歯切れよい食感の「守口漬」が完成します。

昭和の時代に、名古屋にある老舗「大和屋守口漬総本家」で守口漬けを確立させた
曾我米三さん(現:壽俵屋会長)は数ある酒粕やみりん粕の中から、白扇酒造の
みりん粕に出会い最高の守口漬を確信したそうで、現在もこの味を大切に守り継いでいらっしゃいます。

名古屋へお出かけの際には、ぜひお土産に守口漬を選んでみてくださいね。
誰かにお渡しするときには、白扇酒造の「福来純三年熟成本みりん」をあわせて差し上げて
みりんと守口漬の関係を“こぼれ話”としてお話すると、より喜んでいただける贈り物になること間違いなしです。

◆白扇酒造の「こぼれ梅」
絞ったあとの粕まで美味しい「福来純三年熟成本みりん」のみりん粕は「こぼれ梅」として販売されています。

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数量が僅かなためインターネット販売はされておらず、電話受付のみの販売です。
とても貴重なものだからこそ、このブログをお読みくださっている皆様にお試しいただきたい食材です。
ご興味の方は、ぜひ「福来純三年熟成本みりん」とともに「こぼれ梅」をお試しくださいね。

※「こぼれ梅」が今年は大変好評をいただき現在品切れとなっております。
 次回お届けできるのは、年明け2012年1月下旬以降となる予定です。
 ご了承ください。(白扇酒造)



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「季節の歳時記お届けします」公認ブログライター
調味料アドバイザー 古谷史織さんのご紹介

Furuya_2皆さん、こんにちは。古谷史織です。
私は調味料アドバイザーとして調味料の講義や
イベントに参加させていただいたり、レシピの開
発や料理教室での講師などしております。
「美醂のしずく」では、調味料アドバイザーとして
の知識を活かしながら、味醂にまつわるお話や
レシピ、味醂を使ったデザートの紹介などをして
いきたいと思っております。
どうぞよろしくお願いいたします。

●プロフィール
日本野菜ソムリエ協会認定 調味料ジュニアマイスター。
農水省後援 日本農業技術検定2級。
日本の調味料「さしすせそ」の選び方や使い方など、一般の生活者に
分かりやすい調味料の魅力を伝えるために活動中。
調味料の講義やコラム執筆、料理教室の開催やレシピの開発など
「幸せな食卓作り」をテーマに展開している。また、2児の子育てを
しながら都内で農業を学び、半農生活を送っている。

●古谷史織さんのオフィシャルブログ
   
まいにち うま味日記

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過去の記事はこちら
2011年
・【10月】「“発見”と“漬ける”」レシピのご提案
・【10月】秋の保存食レシピ&お外で食べるコーディネート提案
・【9月】美醂と砂糖 味わいの秘密
・【8月】大好き♪琥珀色
・【8月】レモネードパーティはいかが?
・【7月】涼しいテーブルでカフェ気分&友達に贈りたいプチお中元

・【7月】レトロブルーのメキシカンパーティ
・【6月】和ごころたっぷりのお酒「福来純三年熟成本みりん」
・【5月】父の日の素敵な過ごし方
・【4月】アンティーク風小物で彩る春のコーディネート
・【3月】フレッシュな春のテーブルコーディネート
・【2月】春を心楽しむテーブルコーディネート
・【1月】福を呼び込む節分コーディネート
2010年
【12月】幸せを願うお正月
【11月】HAPPYホームクリスマス
【10月】行楽気分で小重テーブル
【9月】 月を愛でるお酒テーブル
【8月】 秋を彩るテーブルコーディネート 
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良質な素材と昔ながらの手造りにこだわる岐阜の蔵元です。

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